取引先へのお中元を、そろそろやめたい。経費や手間を考えて見直しを決めたものの、長年続けてきた相手にどう伝えればよいのか、迷っていないでしょうか。
お中元をやめること自体は、失礼にはあたりません。実際に虚礼廃止の方針をとる会社は増えています。大切なのは、黙ってやめるのではなく、ひとこと挨拶を添えることです。
お中元をやめるときは、シーズンが始まる前に挨拶状かメールで一報を入れるのが基本です。「今後もお付き合いは変わらない」と伝われば、角は立ちません。
この記事では、ビジネスシーンでそのまま使える例文を「贈るのをやめる側」と「受け取りを辞退する側」に分けてまとめました。挨拶状とメールの両方の文例、送るタイミング、やめた後のフォローまで順に解説します。
お中元をやめるのは失礼?ビジネスでの基本マナー
結論から言うと、お中元をやめても失礼ではありません。ただし、これまで贈り合ってきた相手に何も伝えずにやめると、「何かあったのだろうか」と余計な心配をかけてしまいます。やめ方にだけ、気を配りましょう。
やめても失礼にならないケースと考え方
お中元は本来、日頃の感謝を伝える習慣であって、義務ではありません。次のような場合は、やめることに問題はないと考えられています。
- 会社の方針として贈答を見直すことになった
- 先方が贈答辞退の方針を打ち出している
- 取引や交流の実態がほとんどなくなっている
- 形だけのやり取りになっていて、双方の負担になっている
特に企業間では、コンプライアンスの観点から贈答品の授受そのものを規定で制限する会社が増えています。「規定により」という理由は、相手も受け入れやすい伝え方です。
「虚礼廃止」の流れと企業の実情
形式だけの贈答や年賀状のやり取りを見直す動きは、「虚礼廃止」と呼ばれます。経費削減や担当者の負担軽減、公正な取引関係の維持を目的に、お中元・お歳暮を廃止する企業は珍しくなくなりました。
黙ってやめない――挨拶を添えるのが鉄則
一番避けたいのは、何の連絡もなく突然贈るのをやめることです。相手が贈り続けてくれた場合、お返しをめぐって気まずい状況が生まれますし、関係悪化を疑わせる原因にもなります。
挨拶状やメールで「今後は遠慮させていただく」と伝えたうえで、感謝と変わらぬお付き合いへの願いを添える。これだけで、お中元をやめることは円満な区切りになります。
お中元をやめるタイミングと伝え方の選び方
やめると決めたら、伝えるタイミングと手段を選びます。ポイントは「相手が今年の手配をする前」に届けることです。
ベストな時期はお中元シーズン前(6月中)
お中元の時期は、関東では7月初旬から15日ごろ、関西では7月中旬から8月15日ごろが一般的です。企業や百貨店の手配はそれより早く動くため、挨拶状は6月中に届くよう送るのが理想です。
すでに品物が届いてしまった場合は、まずお礼状を出し、その中で「今後はお気遣いなさいませんように」と添える形に切り替えます。届いた品を無理に返す必要はありません。
挨拶状・メール・口頭の使い分け
伝える手段は、相手との関係性と社内の慣行で選びます。目安を表にまとめました。
| 手段 | 向いている相手 | 特徴 |
|---|---|---|
| 挨拶状(封書・はがき) | 長年の取引先、目上の相手 | 最も丁寧。虚礼廃止の正式な通知に向く |
| メール | 日常的に連絡を取り合う担当者 | 手軽で確実。改まった文面にすれば失礼にならない |
| 口頭+後日書面 | 対面の機会が多い相手 | 先に一言伝えておくと、書面が形式的に見えない |
正式な廃止通知は挨拶状が基本ですが、急ぎの場合は先にメールで伝え、改めて挨拶状を送る方法もあります。
段階的にやめる方法(暑中見舞いへの切り替え)
長い付き合いの相手に、いきなり贈答を打ち切るのは気が引ける。そんな場合は、段階的に縮小する方法もあります。
- お中元をやめて、暑中見舞いのはがきに切り替える
- お歳暮だけを残し、お中元をやめる
- 品物の金額を少しずつ抑えていく
贈り物はやめても、季節の挨拶そのものを絶やさないのがコツです。はがき一枚でも、関係を大切にしている気持ちは十分伝わります。

【贈る側】お中元をやめるビジネス例文
ここからは、自社からお中元を贈るのをやめるときの例文です。共通の型は「感謝→やめる旨と理由→変わらぬお付き合いのお願い」の3段構成です。
取引先への挨拶状の例文(虚礼廃止・会社方針)
会社の方針として贈答を取りやめる場合の、最も標準的な文面です。
拝啓 盛夏の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、誠に勝手ながら、弊社では虚礼廃止の方針に基づき、本年よりお中元をはじめとする季節のご贈答を差し控えさせていただくことといたしました。
これまで長年にわたり温かいお心遣いを頂戴しておきながら、このようなご挨拶となりますこと、何とぞご容赦くださいませ。今後のお付き合いにつきましては、従来と変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
まずは書中をもちましてご挨拶申し上げます。
敬具
「虚礼廃止の方針に基づき」を「社内規定の見直しに伴い」と言い換えても使えます。個人的な事情ではなく会社の方針であることを明示するのが、角を立てないポイントです。
取引先へのメール例文
日頃からメールでやり取りしている担当者には、メールで伝えても失礼にはあたりません。件名で用件がわかるようにします。
件名:季節のご贈答お取りやめのご挨拶(株式会社○○)
株式会社△△ 営業部 □□様
いつも大変お世話になっております。株式会社○○の●●でございます。
誠に勝手ながら、弊社では経費見直しの一環として、本年よりお中元・お歳暮などの季節のご贈答を差し控えさせていただくことになりました。
これまでのご厚情に深く感謝申し上げますとともに、今後ともこれまでと変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
本来であれば書面にてご挨拶すべきところ、メールでのご連絡となりますことをご容赦ください。
今後とも何とぞよろしくお願いいたします。
目上の個人・上司へやめる挨拶の例文
会社対会社ではなく、上司や恩人など個人へのお中元をやめる場合は、より柔らかい私信の形にします。
拝啓 暑さ厳しき折、○○様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。日頃より何かとお心にかけていただき、誠にありがとうございます。
さて、誠に恐縮ではございますが、かねてより形式のご挨拶は控えさせていただきたいと考えており、本年より季節のお品のやり取りをご遠慮させていただければと存じます。
身勝手なお願いで恐れ入りますが、今後とも変わらぬご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
時節柄、どうぞご自愛くださいませ。
敬具
個人あての場合は、贈答をやめても暑中見舞いや年賀状で挨拶を続けると、関係が途切れた印象になりません。
【受け取る側】お中元を辞退するビジネス例文
次は、取引先からいただくお中元を辞退する側の例文です。辞退の連絡では、まずお礼を述べてから辞退をお願いする順番を守ります。品物への感謝を飛ばしていきなり断ると、冷たい印象になるためです。
今後の辞退をお願いする挨拶状の例文(お礼+辞退)
今回の品は受け取ったうえで、次回からの気遣いを断る形です。最も穏やかで、実務でもよく使われます。
拝啓 盛夏の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
このたびは結構なお中元の品を頂戴し、誠にありがとうございました。日頃のご厚情とあわせて、社員一同心より感謝申し上げます。
さて、誠に勝手ながら、弊社では規定により、お取引先様からのご贈答をご遠慮申し上げております。お気持ちは大変ありがたく頂戴いたしますが、今後はどうぞお気遣いくださいませんようお願い申し上げます。
略儀ながら書中をもちまして、御礼かたがたお願い申し上げます。
敬具
品物を返送する場合の添え状の例文
社内規定で受け取り自体ができない場合は、品物を返送します。その際は必ず添え状を同封し、事情を説明します。
拝啓 このたびはご丁寧なお中元の品をお送りいただき、誠にありがとうございました。温かいお心遣いに深く感謝申し上げます。
誠に恐縮ではございますが、弊社では社の規定により、お取引先様からのご贈答をお受けいたしかねることとなっております。せっかくのお志を無にするようで心苦しい限りですが、何とぞ事情をお汲み取りいただき、お送りいただいた品を返送させていただきます。
今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げますとともに、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
敬具
返送は相手にとって少なからず衝撃のある対応です。可能であれば、返送前に電話やメールで一報を入れておくと、行き違いを防げます。
メールで辞退を伝える例文
贈られる前に辞退の意向を伝えられる場合や、日常的にやり取りのある相手には、メールでの連絡が実用的です。
件名:ご贈答のお気遣いについて(株式会社○○ 総務部)
株式会社△△ □□様
いつも大変お世話になっております。株式会社○○ 総務部の●●でございます。
毎年ご丁寧なお心遣いをいただき、誠にありがとうございます。
誠に恐縮ではございますが、弊社ではお取引先様からのご贈答を規定によりご遠慮申し上げております。つきましては、今後はどうぞお気遣いなさいませんよう、お願い申し上げます。
貴社のお気持ちには心より感謝しております。今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

お中元をやめた後も関係を保つフォローのコツ
お中元をやめることは、関係を絶つことではありません。むしろ、やめた後の振る舞いのほうが、相手との関係を左右します。
暑中見舞いや年賀状で挨拶は続ける
贈答はやめても、季節の挨拶まで一緒にやめる必要はありません。お中元の代わりに暑中見舞いを、お歳暮の代わりに年賀状を送れば、節目の挨拶は保てます。
- 暑中見舞い:7月上旬〜立秋(8月7日ごろ)まで
- 残暑見舞い:立秋〜8月末ごろまで
- 年賀状:元日〜松の内まで
日常の業務連絡だけになりがちな相手ほど、こうした一枚のはがきが関係の潤滑油になります。

やめた後も相手から届く場合の対応
挨拶状を送っても、翌年また品物が届くことがあります。その場合も、慌てる必要はありません。
まずはお礼状を出し、改めて「今後はお気遣いなさいませんように」と添えます。それでも続くようであれば、受け取ったままで構いません。相手の厚意を毎回突き返すほうが、かえって関係を損ねます。お歳暮のお礼状の書き方は、次の記事が参考になります。

お中元をやめる例文とビジネスマナーのまとめ
お中元をやめるときのビジネスマナーと例文のポイントを振り返ります。
- お中元をやめること自体は失礼ではない。黙ってやめないことが大切
- 挨拶状はお中元シーズン前の6月中に届くよう送る
- 文面は「感謝→やめる旨と理由→変わらぬお付き合いのお願い」の3段構成
- 理由は「虚礼廃止」「社の規定」など会社の方針として伝えると角が立たない
- 辞退する側は、必ずお礼を述べてから辞退をお願いする
- やめた後は暑中見舞いや年賀状で挨拶を続けると関係が保てる
お中元をやめる連絡は、関係を終わらせる通知ではなく、「贈り物がなくてもお付き合いは続く」と伝える挨拶です。例文を自社の状況に合わせて整え、シーズン前に一報を届けましょう。
この記事の例文は、社名や宛名を差し替えればそのまま使えます。お中元だけでなくお歳暮の廃止にも、同じ型で応用してみてください。
