身内に不幸があった年の秋、ふと「喪中はがきを出さなければ」と思い出す方は多いものです。とはいえ、いざ書こうとすると手が止まります。
誰まで出すのか、続柄はどう書くのか、句読点は打っていいのか。決まりごとが多いわりに、教わる機会はほとんどありません。
この記事では、そのまま書き写せる喪中はがきの文例を、続柄別・相手別・状況別に整理しました。家族葬で訃報を知らせていない相手への文面や、出しそびれたときの対処までまとめています。
喪中はがきの文例|まずは基本の1枚
喪中はがきは、凝った文章を書く必要がありません。決まった型に、故人の情報を当てはめるだけで整います。まずは基本の1枚を押さえておきましょう。
そのまま使える基本の文例(続柄を差し替えるだけ)
もっとも一般的な形がこちらです。〇の部分を差し替えれば、そのまま使えます。
喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
本年〇月 父 〇〇 〇〇が八十六歳にて永眠いたしました
ここに本年中に賜りましたご厚情を深く感謝申し上げますとともに
明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます
令和〇年十一月
差し替えるのは、亡くなった月・続柄・氏名・年齢・差出月の5か所だけ。文章そのものはいじらなくてかまいません。
喪中はがきは縦書きが基本のため、日付は「十一月」のように漢数字で書きます。横書きにする場合は算用数字でも問題ありません。
文面を組み立てる4つの要素
喪中はがきの文面は、次の4つの要素でできています。順番も固定です。
- 年賀欠礼の挨拶(年末年始の挨拶を控える旨)
- 誰がいつ亡くなったか(続柄・氏名・時期・年齢)
- お世話になったお礼
- 今後のお付き合いをお願いする言葉
この順番を入れ替えると、途端に読みづらくなります。最初に「年賀状を控えます」と伝えるのが、はがきの目的そのものだからです。
逆に言えば、この4つ以外は書かなくてよいということでもあります。文章量が少なくても失礼にはあたりません。
句読点を使わない・行頭を下げないのが基本
喪中はがきには、いくつか独特の書式があります。知らずに書くと違和感のある1枚になってしまうので、先に確認しておきましょう。
- 句読点(、。)は使わない
- 行頭の一字下げをしない
- 「拝啓」などの頭語・結語は入れない
- 時候の挨拶(「初冬の候」など)も入れない
- 句点の代わりに改行や空白で区切る
句読点を使わないのは、儀礼的な挨拶状に古くから残る慣習です。毛筆の文書に句読点を用いなかったことや、「区切りをつけない」という意味合いが理由として語られます。近年は読みやすさを優先して句読点を入れる例も見られますが、迷うなら使わない形にしておくのが無難です。

【続柄別】喪中はがきの文例
差し替えるのは基本的に続柄と年齢だけですが、義理の親や祖父母では書き方に少し迷いが出ます。ケースごとに見ていきましょう。
父・母が亡くなった場合
もっとも多いケースです。続柄は「父」「母」と簡潔に書きます。
喪中につき年末年始のご挨拶を失礼させていただきます
本年七月 母 〇〇 〇〇が七十九歳にて永眠いたしました
生前に賜りましたご厚情に故人に代わりまして厚く御礼申し上げます
皆様には良き年を迎えられますようお祈り申し上げます
令和〇年十一月
「良き年を」という一文は、相手の新年を願う言葉です。自分は喪中でも、相手のお祝いまで遠慮させる必要はありません。
義父・義母が亡くなった場合
配偶者の親の場合、書き方は2通りあります。「義父」と書くか、「妻の父」のように関係を明示するかです。
喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
本年九月 義母 〇〇 〇〇が八十三歳にて永眠いたしました
本年中に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げます
明年も変わらぬお付き合いをお願い申し上げます
令和〇年十一月
受け取る相手が故人を知らない場合は、「妻〇〇の母」と書くほうが伝わります。姓が違うことへの疑問も生まれません。
祖父母・兄弟姉妹が亡くなった場合
祖父母や兄弟姉妹も、喪中はがきを出す範囲に含まれるのが一般的です。文面の型は変わりません。
喪中のため年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
本年五月 祖父 〇〇 〇〇が九十一歳にて永眠いたしました
生前のご厚誼に深く御礼申し上げます
寒さに向かう折 皆様のご健康をお祈り申し上げます
令和〇年十二月
兄弟姉妹の場合は「兄」「姉」「弟」「妹」と書きます。年齢を添えるかどうかは自由で、若くして亡くなった場合は省く方も少なくありません。
配偶者・子どもが亡くなった場合
配偶者や子どもを見送った場合は、差出人をどうするかが問題になります。夫が亡くなったなら妻の名で、子どもが亡くなったなら親の名で出すのが基本です。
喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
本年三月 夫 〇〇が七十五歳にて永眠いたしました
生前に賜りましたご厚情に故人に代わりまして深く御礼申し上げます
今後とも変わらぬお付き合いを賜りますようお願い申し上げます
令和〇年十一月
これまで夫婦連名で年賀状を出していた場合、差出人が変わることを相手に知らせる意味も持ちます。氏名は姓を省いて名だけにするのが一般的です。
子どもを見送った場合は「長男 〇〇」「長女 〇〇」と書きます。年齢を記すのがつらければ省いてかまいません。文面も無理に整えず、簡素な形で十分です。
続柄の書き方一覧(世帯主から見た関係で書く)
迷いやすいのが、夫婦連名で出すときの続柄です。この場合は世帯主から見た関係で統一します。妻の父であっても、夫が世帯主なら「義父」または「岳父」と書くことになります。
| 故人 | 続柄の書き方 | 補足 |
|---|---|---|
| 自分の父・母 | 父/母 | もっとも一般的 |
| 配偶者の父・母 | 義父/義母 | 「妻〇〇の父」でも可 |
| 自分の祖父母 | 祖父/祖母 | 年齢は省いても可 |
| 配偶者の祖父母 | 義祖父/義祖母 | 関係を明示すると親切 |
| 兄弟姉妹 | 兄/姉/弟/妹 | 年齢の記載は自由 |
| 子ども | 長男/長女など | 氏名は名のみでも可 |
| 配偶者 | 夫/妻 | 差出人は残された側の名で |
連名にするか、単独名義にするかは自由です。妻側の親族が亡くなり、続柄の表記に違和感が残るようなら、妻の単独名義で出す方法もあります。
【相手別】喪中はがきの文例の使い分け
文面の骨格は誰に出しても同じですが、結びの一文は相手によって変えると自然です。関係性ごとの書き分けを見ていきます。
親族・親戚へ送る場合
すでに訃報を知っている相手なので、あらためて経緯を詳しく書く必要はありません。むしろ簡潔にまとめるほうが落ち着きます。
葬儀に来てもらった相手であれば、そのお礼を一言添えると気持ちが伝わります。「葬儀の際にはご丁寧なお心遣いをいただき ありがとうございました」といった形です。
なお、同居している家族同士など、双方が喪中である相手には出さないのが通例です。
友人・知人へ送る場合
友人相手でも、喪中はがきは儀礼的な挨拶状です。くだけた表現は避け、基本の型を守ります。
喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
本年八月 父 〇〇 〇〇が八十四歳にて永眠いたしました
本年中のご厚情に心より御礼申し上げます
時節柄 どうぞご自愛くださいますようお願い申し上げます
令和〇年十一月
親しい相手だからと近況を書き添えたくなりますが、喪中はがきには載せません。伝えたいことがあれば、年明けの寒中見舞いに回すのがすっきりします。
会社関係・取引先へ送る場合
仕事関係については、出す・出さないで考え方が分かれます。喪中はあくまで個人の事情なので、業務上の付き合いには持ち込まないという立場もあるためです。
- 個人的なお付き合いもある相手 → 喪中はがきを出す
- 業務上のやりとりだけの相手 → 例年どおり年賀状を出す
- 会社名義で出している年賀状 → 個人の喪中とは切り離して例年どおり
どちらが正解と決まっているわけではありません。職場に慣例があるならそれに合わせるのが確実です。
喪中につき年末年始のご挨拶を失礼させていただきます
本年六月 父 〇〇 〇〇が八十八歳にて永眠いたしました
平素のご厚誼に深く感謝申し上げます
明年も変わらぬお引き立てのほどお願い申し上げます
令和〇年十一月
相手別に変えるのは結びの一文だけで十分です。親族には葬儀のお礼、友人には体調を気づかう言葉、仕事関係には今後のお付き合いのお願い。この使い分けだけ覚えておけば迷いません。
【状況別】書きにくいときの喪中はがきの文例
基本の型では対応しきれない場面もあります。家族葬が増えたこともあり、次のようなケースで手が止まる方は少なくありません。
家族葬で訃報を知らせていない相手へ
喪中はがきで初めて訃報を知る相手には、事後報告になったことへの断りを一言添えます。この一文があるかないかで、受け取った側の印象は大きく変わります。
喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
本年四月 父 〇〇 〇〇が八十七歳にて永眠いたしました
葬儀は故人の遺志により近親者のみにて相営みました
ご通知が遅れましたことを深くお詫び申し上げます
ここに生前のご厚情に感謝申し上げますとともに
明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます
令和〇年十一月
「故人の遺志により」と書き添えると、家族葬にした理由が自然に伝わります。香典や供物を辞退したい場合は、その旨も併せて記しておくとよいでしょう。
訃報を知った相手から、後日お香典やお供えが届くことがあります。その場合はお返しと挨拶状を用意することになります。書き方は香典返しの挨拶状と同じ考え方です。

故人と面識のない相手へ
自分の友人や仕事関係の相手は、故人と面識がないことがほとんどです。この場合、故人の氏名まで詳しく書く必要はありません。
喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
本年十月 母が永眠いたしました
本年中に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げます
明年も変わらぬお付き合いをお願い申し上げます
令和〇年十一月
氏名も年齢も省いた、もっとも簡素な形です。相手が故人を知らないなら、情報を並べても意味がありません。かえって配慮の行き届いた1枚になります。
続柄や享年を書きたくないとき
誰が亡くなったかを広く知らせたくない場合もあります。そんなときは、故人の情報をすべて省いてしまってかまいません。
喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
本年中に賜りましたご厚情に深く御礼申し上げます
明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます
令和〇年十一月
年齢の書き方に迷ったときも同じで、無理に載せる必要はありません。享年は数え年で記す慣習がありますが、近年は満年齢で書く例も広く見られます。どちらかに統一されていれば問題ないでしょう。
喪中はがきはいつ・誰に出す?
文面が決まったら、次は時期と範囲です。喪中はがきは「相手が年賀状を準備する前に届く」ことが最大の目的なので、タイミングを外すと意味が薄れてしまいます。
出す時期は11月〜12月初旬が目安
郵便局の年賀はがき引き受けは、例年12月15日ごろから始まります。相手が年賀状を書き終える前に届けたいので、そこから逆算します。
11月中の投函がもっとも安心です。遅くとも12月10日ごろまでには届くように出しましょう。11月より早すぎると、受け取った側が年末までに忘れてしまうことがあります。
11月以降に不幸があった場合は、無理に喪中はがきを間に合わせなくてかまいません。年明けの寒中見舞いに切り替える方法があります。
出す範囲は二親等が一つの目安
喪中とする範囲に厳密な決まりはありませんが、二親等までを目安とする考え方が広く使われています。
- 一親等:父母、配偶者、子
- 二親等:祖父母、兄弟姉妹、孫
- 配偶者側の父母・祖父母・兄弟姉妹も同様に扱うことが多い
三親等以上でも、同居していた・親しくしていたなど、気持ちの面で喪に服したいなら出してかまいません。最終的には本人の判断です。
送る相手は、例年年賀状をやりとりしている方全員が基本になります。前年に届いた年賀状を見返すと、漏れが出にくくなります。
はがき・切手・デザインの選び方
使うはがきは大きく2通りです。手間を減らしたいなら前者が簡単です。
- 郵便局の通常はがき(切手部分が印刷済み。胡蝶蘭柄の弔事用はがきは2024年10月の料金改定で販売終了)
- 私製はがき+弔事用の切手
デザインは、薄墨や落ち着いた色味のものを選びます。派手な色や華やかなイラストは避けるのが通例です。文字色を薄墨にするかどうかは自由で、読みやすさを優先して通常の黒で印刷する方も増えています。
喪中はがきを受け取った側がどう返すのかも知っておくと、自分が受け取る立場になったときに慌てません。


喪中はがきで避けたい表現と出しそびれたときの対処
最後に、書いてしまいがちなNG表現と、間に合わなかったときのリカバリー方法を確認しておきましょう。ここを押さえれば、迷いなく1枚を仕上げられます。
忌み言葉・重ね言葉に注意
弔事の挨拶状では、不幸が重なることを連想させる言葉を避けます。普段は何気なく使う表現ばかりなので、書き上げたら一度見直してみてください。
- 重ね言葉:重ね重ね/たびたび/いよいよ/ますます/返す返す
- 直接的な表現:死亡/死去(「永眠」「逝去」に言い換える)
- 忌み数:四/九を含む表現
「ますますのご健勝を」といった結びは年賀状では定番ですが、喪中はがきでは言い換えたいところ。「皆様のご健勝をお祈り申し上げます」とすれば自然です。
近況報告やお祝い事は書かない
喪中はがきは、年賀欠礼を伝えるためだけのものです。ほかの用件を混ぜると、はがきの性格があいまいになります。
- 結婚・出産などの慶事の報告
- 転居や転職の知らせ
- 近況やお礼以外の私信
転居の知らせだけは、届かなくなると困るため一緒に書く方もいます。気になるようなら、年明けの寒中見舞いで伝えると角が立ちません。
間に合わなかったら寒中見舞いに切り替える
年末に不幸があった場合や、出しそびれてしまった場合は、寒中見舞いで挨拶をします。松の内が明けてから立春までの時期に出すのが一般的です。
寒中お見舞い申し上げます
ご丁寧な年頭のご挨拶をいただきありがとうございました
昨年十二月に父 〇〇 〇〇が永眠いたしましたため
年始のご挨拶を控えさせていただきました
ご連絡が行き届かず失礼いたしました
寒さ厳しき折 どうぞご自愛くださいませ
令和〇年一月
年賀状を受け取ってしまった相手にも、この形で返せます。相手を責める書き方にはせず、自分から知らせが行かなかったことを詫びる形にまとめるのが穏当です。
よくある質問
- 喪中はがきに手書きで一言を添えてもよいですか?
-
短いお礼や体調を気づかう言葉であれば添えてかまいません。ただし近況報告やお祝い事は避けます。相手が故人と親しかった場合に、生前のお付き合いへの感謝を一言書き添える程度がよいでしょう。
- 喪中はがきを出す相手から先に年賀状が届いたらどうしますか?
-
松の内が明けてから、寒中見舞いとして返信します。年賀状をいただいたお礼を述べたうえで、喪中のため年始の挨拶を控えたことと、連絡が遅れたお詫びを書き添えます。年賀状で返信するのは避けましょう。
- 喪中の期間にお歳暮を贈ってもよいですか?
-
お歳暮はお祝いではなく日頃のお礼なので、喪中でも贈って差し支えないとされています。気になる場合は、紅白の水引を避けて無地の奉書紙や白短冊を使う方法があります。四十九日を過ぎてから贈ると、より落ち着いた形になります。
- 喪中はがきは何枚くらい用意すればよいですか?
-
前年に受け取った年賀状の枚数が目安になります。そこに数枚の予備を足しておくと安心です。喪中はがきで訃報を知った方から連絡が来ることもあるため、少し多めに手元に残しておくとよいでしょう。
- ペットが亡くなった場合も喪中はがきを出しますか?
-
一般的には出しません。喪中はがきは親族の逝去による年賀欠礼を伝えるものだからです。気持ちの整理がつかず年賀状を控えたい場合は、寒中見舞いで挨拶をする方法があります。
手書きで一言添える場合や、はがき全体を手書きで仕上げたい場合は、手紙の基本構成も参考になります。


まとめ
喪中はがきは、決まった型に故人の情報を当てはめるだけで整います。凝った文章を考える必要はありません。
- 文面は「年賀欠礼→故人の情報→お礼→今後のお願い」の4要素
- 句読点は使わず、行頭も下げない
- 続柄は世帯主から見た関係で書く
- 相手別に変えるのは結びの一文だけでよい
- 投函は11月中が安心、遅くとも12月初旬まで
- 間に合わなければ寒中見舞いに切り替える
迷ったときは、基本の文例をそのまま書き写して、続柄と月だけ差し替えてください。簡素であることは失礼ではなく、むしろ喪中はがきにふさわしい形です。
大切な方を見送った年の、静かな区切りの1枚です。形式に気を取られすぎず、落ち着いて仕上げていきましょう。
