訃報を受け取ったとき、「お花代」と書かれた封筒をどう準備すればよいのか迷う方は多いのではないでしょうか。表書きの文字、名前の書き方、中袋の金額表記、薄墨の使い方など、うっかり間違えるとご遺族に失礼にあたる作法がいくつもあります。
この記事では、お花代の封筒の書き方を、表書きから中袋・連名・金額相場・渡し方まで、迷いやすいポイントに絞ってまとめました。仏式・神式・キリスト教式で変わる表書きの使い分けも整理しています。
- お花代・香典・供花代の違いと、どれを選ぶべきか
- 表書き「お花代/御花代/御花料」の宗教別の使い分け
- 中袋の金額を大字で書くときの正しい書き方
- 夫婦・3名・4名以上・会社一同の連名のマナー
お花代とは?香典や供花代との違いをまず確認
お花代は、故人への弔意を表すために贈るお金で、大きく分けて二つの意味を持ちます。まず、香典との違いと用途を整理しておくと、封筒に書く文字も迷わず選べます。

お花代の2つの意味(供花代/香典代わり)
お花代が使われるのは、次の二つの場面です。
- 祭壇に飾る供花(きょうか)の代金として、ご遺族や葬儀社に渡す場合
- 香典の代わりとして、弔意を込めて渡す場合
前者は、ご自身で供花を手配せず「代わりに花を出してほしい」とお金で渡すケースです。後者は、通夜や葬儀に参列できなかった方が後日お花代としてお渡しする場合が多く見られます。
香典との違いをひと目で理解
香典は本来、故人の霊前に供えるお香の代わりとして包むお金であり、ご遺族への経済的な援助という意味も兼ねています。一方、お花代は供花の費用、もしくは後日あらためて弔意を示すために渡すものという違いがあります。
| 項目 | 香典 | お花代 |
|---|---|---|
| 意味 | お香の代わり・遺族への援助 | 供花の代金/後日の弔意 |
| 渡す場面 | 通夜・葬儀当日が中心 | 供花手配時/後日弔問時 |
| 表書き | 御霊前・御仏前など | お花代・御花代・御花料 |
| 金額の目安 | 関係性による | 香典に準じる/供花の実費 |
香典とお花代を両方渡すこともできますが、ご遺族の負担を考えて、どちらか一方にまとめる方が一般的です。
「お花代」「御花代」「御花料」の使い分け
表書きは宗教によって使い分けるのが基本です。
- お花代・御花代:仏式・神式で広く使える無難な表書き
- 御花料:キリスト教式の葬儀で使う表書き
- 御供花料:供花の代金として渡すときに使えるやや丁寧な表現
故人の宗教が分からない場合は、「お花代」か「御花代」を選べば失礼になりにくいです。キリスト教式の教会葬だと分かっているときは「御花料」を選ぶと、より場にふさわしい表書きになります。

宗教が分からないときは「お花代」を選んでおけば、まず失礼にはなりませんよ。
お花代の封筒(不祝儀袋)の選び方
お花代を包む封筒は、金額と宗教に合わせて選びます。結論から言うと、水引は「結び切り」か「あわじ結び」、色は白黒または双銀が基本です。
金額に応じた封筒の格
不祝儀袋は、中に包む金額とのバランスで選ぶのがマナーとされます。派手な袋に少額を包むのも、質素な袋に高額を包むのも、どちらもちぐはぐな印象になります。
| 金額の目安 | おすすめの封筒 |
|---|---|
| 3,000円〜5,000円 | 水引が印刷された略式の不祝儀袋、または白無地封筒 |
| 5,000円〜10,000円 | 白黒の水引がかけられた標準的な不祝儀袋 |
| 10,000円〜30,000円 | 双銀の水引・和紙素材の上質な不祝儀袋 |
| 30,000円以上 | 高級和紙・大判の不祝儀袋 |
水引は結び切り・あわじ結びが基本
水引の結び方にも意味があります。お花代をはじめ弔事では、「一度きりで繰り返さない」という願いを込めて、結び切りまたはあわじ結びを選びます。
- 結び切り:一度結んだらほどけない形。弔事全般に使える
- あわじ結び:結び切りの一種で、より格の高い見た目。弔事・慶事どちらにも使える
- 蝶結び(花結び):繰り返しを意味するためお花代には使わない
色は、仏式・神式なら白黒または双銀、キリスト教式では水引そのものがない白無地の封筒を選ぶのが一般的です。
白無地封筒でも失礼にならないケース
不祝儀袋が手元にないときや、金額が少額の場合は、白無地の封筒でも失礼にはあたりません。コンビニや文具店で手に入る郵便番号枠のない白封筒を使います。
- 包む金額が3,000〜5,000円程度と少額のとき
- キリスト教式の葬儀で弔意を示すとき
- 急な訃報で不祝儀袋が用意できなかったとき
白封筒を使う場合も、郵便番号の赤枠がないものを選ぶのがポイントです。赤色は慶事を連想させるため、弔事では避けます。
お花代の封筒の書き方【表書き・名前編】
表書きと名前は、封筒の表側に書く最も目立つ部分です。薄墨を使うのが正式で、名前は自分のフルネームを水引の下に縦書きで書きます。


表書きの位置と文字(薄墨を使うべき?)
表書きは、水引の結び目の真上・中央に書きます。文字は「お花代」「御花代」「御花料」のいずれかを、封筒の中央から少し上に配置するとバランスよく収まります。
弔事では薄墨を使うのが昔ながらの作法です。「悲しみの涙で墨が薄まった」「急ぎ駆けつけるため墨をする時間がなかった」という気持ちを表すとされる慣習で、文具店や100円ショップで薄墨の筆ペンが手に入ります。



最近は普通の筆ペンやサインペンでも失礼にはなりませんが、薄墨が手元にあればそちらが無難ですね。
ボールペンや鉛筆で書くのは、カジュアルすぎる印象になるため避けた方がよいでしょう。
自分の名前(フルネーム・縦書き)
名前は、水引の下・中央にフルネームで縦書きします。表書きの文字よりもやや小さめに書くと、全体のバランスが整って見えます。
姓だけで書くのは略式なので、フォーマルな場では姓名どちらも書く方が丁寧です。会社名を入れる場合は、名前の右上に少し小さめに添えます。
連名の書き方(夫婦・3名まで・4名以上・会社一同)
連名で渡す場合は、書き方のルールが人数によって変わります。
中央に夫のフルネームを書き、その左に妻の名前のみを並べて書きます。夫の名字は妻の名前にもかかる形です。
目上の人を右側に書き、左へ向かって順に並べます。全員のフルネームを書き、文字の大きさはそろえます。
代表者のフルネームを中央に書き、その左に「外一同」と添えます。別紙に全員の氏名を書いて中袋に同封すると丁寧です。
中央に「株式会社○○ 営業部一同」のように部署名+一同と書きます。人数が確定している場合は別紙に氏名を書いて同封します。
お花代の封筒の書き方【中袋・裏面編】
中袋には金額と住所・氏名を書きます。金額は改ざん防止のため「大字(だいじ)」という旧字体の漢数字を使うのが正式なマナーです。
中袋の表:金額の書き方(大字の使い方)
中袋の表面中央に、包んだ金額を縦書きで記入します。頭に「金」、末尾に「圓(えん)」または「也(なり)」を添えるのが正式な書き方です。
| 金額 | 大字での書き方 |
|---|---|
| 3,000円 | 金参仟圓(または金参阡圓) |
| 5,000円 | 金伍仟圓(または金伍阡圓) |
| 10,000円 | 金壱萬圓 |
| 20,000円 | 金弐萬圓 |
| 30,000円 | 金参萬圓 |
| 50,000円 | 金伍萬圓 |
最近は「金5,000円」「金10,000円」のように算用数字で書いても、マナー違反とまでは言われません。ただ、目上の方に渡す場合や会社として渡す場合は、大字で書くと丁寧な印象になります。
中袋の裏:住所・氏名の書き方
中袋の裏面には、左下に郵便番号・住所・氏名を縦書きで記入します。住所は番地まで省略せず、氏名は表書きと同じフルネームを書くのが基本です。
この住所・氏名は、ご遺族が後日お礼状や香典返しを送るための大切な情報になります。読みやすい字で、ていねいに書くよう心がけましょう。
中袋がない封筒のときの代用ルール
白無地封筒や略式の不祝儀袋で中袋がない場合は、封筒の裏面左下に金額と住所・氏名をまとめて記入します。
- 封筒の表:中央上に「お花代」、下に自分の名前
- 封筒の裏:左下に金額(縦書き)、その左に郵便番号・住所・氏名
- 金額は大字、住所・氏名は読みやすい楷書で書く
中袋がない分、裏面の情報が香典返しの手がかりになります。省略せずに書きましょう。
お花代の金額相場とお札の入れ方
お花代の金額は、故人との関係性と地域の慣習で決まります。供花代として渡すか、香典代わりに渡すかでも相場が変わるため、用途に合わせて選びます。
故人との関係別の相場
香典代わりとしてお花代を渡す場合の金額は、一般的な香典相場に準じます。
| 故人との関係 | 金額の目安 |
|---|---|
| 両親 | 30,000〜100,000円 |
| 兄弟姉妹 | 30,000〜50,000円 |
| 祖父母 | 10,000〜30,000円 |
| 叔父叔母・親戚 | 10,000〜30,000円 |
| 友人・知人 | 5,000〜10,000円 |
| 職場関係・取引先 | 5,000〜10,000円 |
| 近所・顔見知り | 3,000〜5,000円 |
自分の年齢が高いほど、また故人との関係が深いほど金額を上げるのが一般的です。周囲と相談して金額を揃えると、浮いた印象になりにくくなります。
供花代として渡す場合の金額
祭壇用の供花そのものを出す代わりにお金で渡す場合は、供花1基分の実費が目安になります。地域や葬儀の規模で変わりますが、だいたい次の範囲に収まります。
- スタンド花(1基):7,000〜15,000円
- スタンド花(1対・2基):14,000〜30,000円
- 花輪:7,000〜15,000円
- 籠花・アレンジメント:5,000〜20,000円
供花代として渡す場合は、事前に葬儀社またはご遺族に「供花を出したい」と伝えて、形式や金額のすり合わせをしてからお渡しするのがスマートです。
お札の向き・新札を避けるマナー
お花代に包むお札にも、弔事ならではの作法があります。
お札の向きは、封筒の表側から見て肖像画が下向き・裏側になるよう揃えて入れます。複数枚入れる場合は、向きをすべてそろえるのがポイントです。
- 新札は避ける(折り目をつけるか使用感のあるお札を選ぶ)
- あまりにボロボロのお札・破れたお札は使わない
- お札の肖像画は下・裏向きに揃える
- 4枚・9枚など「死」「苦」を連想する枚数は避ける
お花代を渡すときのマナーとタイミング
お花代は、包み方と同じくらい渡し方のマナーも大切です。ふくさに包んで持参し、短いお悔やみの言葉を添えて渡すのが基本です。
渡すタイミング(通夜・葬儀・後日)
渡すタイミングは、参列する葬儀の種類や自分の立場で変わります。
最も一般的なタイミングです。受付で記帳した後、ふくさから封筒を取り出して両手で差し出します。
祭壇用の供花として渡す場合は、通夜の前日までに葬儀社またはご遺族に連絡を入れ、葬儀社経由で渡すとスムーズです。
通夜・葬儀に参列できなかった場合は、四十九日までの間に弔問して直接手渡しするか、お悔やみ状を添えて現金書留で送ります。
袱紗(ふくさ)の使い方
お花代の封筒は、ふくさに包んで持参するのが正式なマナーです。弔事用のふくさは、紺・藍・灰・紫など寒色系を選びます。紫は慶事・弔事の両方で使えるため、一枚持っておくと重宝します。
受付で渡すときは、ふくさから封筒を取り出し、表書きが相手から読める向きに整えてから両手で差し出します。ふくさはたたんで手元に戻します。
一言添える言葉の例
受付で渡すときは、短いお悔やみの言葉を添えます。長々と話す必要はなく、数秒で終わる一言で十分です。
- 「このたびはご愁傷さまでございます。心ばかりですがお花代をお納めください」
- 「このたびは心よりお悔やみ申し上げます。ご霊前にお供えください」
- 「心ばかりですが、お花代としてお納めください」
「重ね重ね」「たびたび」「再び」といった重ね言葉は、不幸が続くことを連想させるため避けます。
お見舞いの封筒マナーも、表書きや中袋の書き方など共通する部分があります。合わせて確認しておくと安心です。


お花代の封筒マナーQ&A|迷いがちなポイントを解決
- 濃い墨で書いてしまったら失礼になりますか?
-
濃い墨で書いたこと自体でマナー違反にはなりません。薄墨は昔からの慣習ですが、普通の筆ペンや黒インクのペンで書いた封筒でも、ご遺族が不快に感じることはまずありません。どうしても気になる場合は、書き直すよりそのまま丁寧にお渡しする方が落ち着いた印象になります。
- ボールペンで書いてしまっても大丈夫ですか?
-
マナーとしては筆ペンや毛筆が望ましいですが、急な訃報でボールペンしか手元にない場合もあります。黒のボールペンで楷書でていねいに書けば、ご遺族が受け取りを拒むような失礼にはあたりません。次の機会に備えて、薄墨の筆ペンを一本用意しておくと安心です。
- 新札しかないときはどうしたらよいですか?
-
お札を縦半分、または横半分に軽く折り目を付けてから封筒に入れれば問題ありません。ピン札のまま入れると「不幸を予期して準備していた」という印象になるため、必ず折り目を付けます。新札の折り目は、ATMで引き出した普通のお札と同じ程度でかまいません。
- 会社から渡す場合の表書きはどう書きますか?
-
中央に「お花代」と書き、その下に会社名と部署名、代表者名を書きます。例えば「株式会社○○ 営業部 部長 山田太郎」のように、会社名を右上に少し小さめに、名前を中央にフルネームで書くと整った見た目になります。部署一同で渡す場合は「営業部一同」と書き、別紙に全員の氏名を記して中袋に同封します。
- 香典とお花代は両方渡すべきですか?
-
どちらか一方にまとめるのが一般的です。両方渡すとご遺族の香典返しの負担が増えてしまいます。親族の場合など、どうしても両方渡したいときは、受付で「香典とお花代として」とまとめてお渡しする形が自然です。
- キリスト教式の場合は「お花代」ではいけませんか?
-
キリスト教式では「御花料」と書くのが正式です。「お花代」「御花代」は主に仏式・神式で使われる表書きのため、教会葬と分かっている場合は「御花料」を選ぶと場にふさわしい書き方になります。宗派が不明な場合は「御花料」でも受け取ってもらえます。
まとめ|お花代の封筒は「表書き・中袋・薄墨」の3点が要
お花代の封筒マナーは、難しく見えて押さえるべきポイントは多くありません。最後に、失敗しないためのチェックポイントを整理しておきます。
表書きは「お花代」または「御花代」、キリスト教式なら「御花料」を選ぶ。薄墨の筆ペンで水引の上に書くのが基本です。
中袋の表に金額を大字(金壱萬圓など)で、裏に住所・氏名を書く。中袋がない場合は封筒の裏面左下にまとめて記入します。
お札は新札を避けて折り目を付け、肖像画が下・裏向きになるよう揃えて入れる。ふくさに包んで両手で渡すのが正式です。
迷ったら「お花代」「薄墨」「ふくさ」の3つだけは押さえておきましょう。この3点を守れば、どの宗教・どの場面でも大きな失礼にはなりません。
弔事の封筒は、形式そのものよりも「故人とご遺族への気持ちを丁寧に表す」ことが本質です。心を込めて準備した封筒であれば、細かい部分で多少迷うことがあっても、その想いはきっと伝わります。








