「好きなアーティストの曲をギターで弾き語りできたら…」
「新しい趣味として、何か打ち込めるものを見つけたい」
そんな思いからギターに興味を持つ人は少なくありません。でも実際に始めようとすると、「独学で本当に弾けるようになるの?」「教室に通わないと無理なんじゃ…」と不安になって、なかなか一歩が踏み出せない。そういう方も多いのではないでしょうか。
あるいは、過去にギターに挑戦したことがある方もいるかもしれません。「あのFコードが全然押さえられなくて…」「指が痛くて続かなかった」「結局、押し入れの奥に眠ったまま」。そんな苦い記憶をお持ちの方も、決して珍しくありません。
もし今、あなたがそんな状態にあるなら、ここで一つお伝えしたいことがあります。ギターは独学でも確実に上達できます。そして、過去に挫折した経験があるからこそ、次はうまくいく可能性が高いのです。なぜなら、「どこでつまずいたか」をすでに知っているから。
大切なのは、やみくもに練習することではなく、正しい順序で、正しい方法を学ぶこと。つまずきやすいポイントをあらかじめ知っておき、それを避けながら進んでいくことです。
かつて独学といえば、分厚い教則本とにらめっこするしかありませんでした。でも今は違います。YouTubeには質の高いレッスン動画があふれ、オンライン教材も充実しています。やる気さえあれば、プロが体系化した練習法に誰でもアクセスできる時代になりました。
この記事では、ギター独学を成功させるための具体的なステップを、準備から実践、教材選びまで一貫してお伝えします。過去に挫折した方も、これから始める方も、読み終えた後には「なるほど、こうすればよかったのか」という発見と、「さっそく試してみよう」というワクワク感を持っていただけるはずです。
では、一緒に始めていきましょう。
独学でギターは本当に上達できるのか?
結論から言うと、独学でも十分に上達できます。実際、プロとして活躍しているギタリストの中にも、独学でスタートした人は数多くいます。
ただし、独学には「正しいやり方」があります。何も考えずに好きな曲をひたすら弾いているだけでは、変な癖がついてしまったり、いつまでも同じところでつまずいたりすることがあります。逆に言えば、正しい手順さえ踏めば、教室に通わなくても着実にレベルアップしていけるということです。
独学で上達するために必要な要素は、大きく分けて3つあります。
1つ目は「体系的な教材」です。何を、どの順番で学べばいいのかが明確になっている教材があれば、迷うことなく練習を進められます。教則本でも動画でもオンライン講座でも構いません。自分に合ったものを一つ選び、まずはそれを信じてやり通すことが大切です。
2つ目は「継続できる環境」です。ギターは1日や2日で弾けるようになるものではありません。毎日少しずつでも触り続けることで、指が慣れ、コードが押さえられるようになり、曲が弾けるようになっていきます。そのためには、ギターをいつでも手に取れる場所に置いておく、練習時間を決めておくなど、続けやすい仕組みを作ることが重要です。
3つ目は「フィードバックの機会」です。独学のデメリットは、自分の演奏が正しいかどうか判断しにくいこと。これを補うために、自分の演奏を録音・録画して客観的に確認したり、SNSで発信して他の人からコメントをもらったりする方法があります。
これらの要素を意識しながら練習を続ければ、独学でも確実に上達できます。むしろ、自分のペースで進められる独学だからこそ、長く楽しく続けられるという側面もあります。
独学とギター教室、どちらを選ぶべき?
ギターを始めようと思ったとき、多くの人が悩むのが「独学で始めるか、教室に通うか」という選択です。どちらにも良いところがあるので、自分の状況や性格に合った方を選ぶのがベストです。
独学のメリット
独学の最大の魅力は、自分のペースで進められることです。仕事や学校で忙しい日は休み、時間があるときにまとめて練習する、といった柔軟な取り組み方ができます。教室のように「毎週○曜日の○時」と決まっていないので、ライフスタイルに合わせやすいのが特徴です。
費用面でも大きなメリットがあります。教室に通うと月額1万円前後かかることが多いですが、独学なら教材費だけで済みます。最近は無料のYouTube動画だけでもかなりのことが学べるので、初期投資をギター本体と最低限のアクセサリーに絞ることも可能です。
また、好きな曲から練習を始められるのも独学ならでは。教室では基礎から順番にやることが多いですが、独学なら「この曲が弾きたい!」というモチベーションを最大限に活かせます。
ギター教室のメリット
一方、教室に通う最大のメリットは、プロの講師から直接指導を受けられることです。フォームの癖や間違った押さえ方など、自分では気づきにくいポイントをその場で修正してもらえます。特に最初のうちは、変な癖がつく前に正しいフォームを身につけられるのは大きなアドバンテージです。
また、「毎週教室がある」というのが良いプレッシャーになることもあります。独学だとついサボってしまいがちな人でも、レッスンの日は必ず練習することになるので、継続しやすくなります。
疑問点をすぐに質問できるのも教室ならではの良さです。「この部分がうまく弾けない」「この音がきれいに出ない」といった具体的な悩みに、その場でアドバイスをもらえます。
それぞれに向いている人
では、どちらを選べばいいのでしょうか。
独学に向いているのは、自分でスケジュールを管理できる人、コツコツ一人で取り組むのが苦にならない人、費用を抑えたい人、そして自分のペースを大切にしたい人です。また、過去に別の楽器や習い事で独学の経験がある人も、独学でうまくいく可能性が高いでしょう。
教室に向いているのは、一人だと続かない人、すぐに質問したい人、最初から正しいフォームを身につけたい人、そして定期的な予定があった方がモチベーションを保てる人です。
迷っている場合は、まず独学で始めてみて、壁にぶつかったら教室を検討する、という方法もあります。あるいは、最初の数ヶ月だけ教室で基礎を固め、その後は独学に切り替えるというハイブリッドな方法も効果的です。
独学に向いている人、向いていない人の特徴
独学で上達できるかどうかは、練習方法だけでなく、その人の性格やライフスタイルにも関係してきます。自分が独学に向いているかどうか、チェックしてみましょう。
独学に向いている人の特徴
まず、自分で調べることが好きな人は独学に向いています。分からないことがあったときに「誰かに聞く」のではなく「自分で調べてみよう」と思えるタイプの人は、独学との相性が良いです。今はネット上に情報があふれているので、調べる力さえあれば大抵のことは解決できます。
また、目標に向かってコツコツ取り組める人も独学向きです。ギターは一朝一夕には上達しません。毎日少しずつ積み重ねていく必要があるので、地道な努力を続けられる人に向いています。
時間の融通が利く人、あるいは不規則な生活をしている人も独学が合っています。深夜しか時間が取れない、週によって忙しさが違うなど、決まった時間に教室に通うのが難しい場合は、独学の方が続けやすいでしょう。
そして、完璧主義すぎない人。独学では「これで合っているのかな?」と不安になることもあります。多少の不確かさを許容しながら進められる人の方が、独学を楽しめます。
独学に向いていない人の特徴
逆に、すぐに正解を知りたい人は独学だとストレスを感じやすいかもしれません。「この弾き方で合っているの?」という疑問にすぐ答えてほしい場合は、教室の方が向いています。
一人だとサボってしまう人も、独学は難しいことがあります。誰かに見られている、チェックされているという環境がないと続かないタイプの人は、教室という「強制力」があった方がうまくいきます。
また、完璧なフォームにこだわりたい人も教室向きです。独学だと、自分では気づかない癖がついてしまうことがあります。最初から正しいフォームで弾きたいという思いが強い場合は、プロの指導を受けた方が安心です。
向き不向きは変えられる
ここまで読んで「自分は独学に向いていないかも」と思った方も、心配する必要はありません。向き不向きは固定されたものではなく、工夫次第で変えられます。
例えば、一人だとサボりがちな人は、SNSで練習報告をすることで「見られている感」を作り出せます。すぐに正解を知りたい人は、YouTubeのコメント欄やギター関連のコミュニティで質問することで解決できることも多いです。
大切なのは、自分の弱点を知った上で、それを補う仕組みを作ること。それさえできれば、どんなタイプの人でも独学でギターを楽しめるようになります。
【準備編】ギター独学を始める前に揃えるべきアイテム
「よし、始めよう!」と決意しても、道具がなければ何も始まりません。ここでは、ギター独学に必要なアイテムを、絶対に必要なものから、あると便利なものまで順番に紹介します。
絶対に必要なもの(1):ギター本体
当然ですが、まずはギターがなければ話になりません。ギターには大きく分けて「アコースティックギター」と「エレクトリックギター」の2種類があります。
アコースティックギター(アコギ)の特徴
電源なしでそのまま音が出せるのがアコースティックギターです。ボディの空洞で音を響かせるので、温かみのある豊かなサウンドが特徴です。弾き語りをしたい人、フォークソングやポップスが好きな人に向いています。
一本あればどこでも演奏できる手軽さが魅力ですが、エレキギターに比べて弦が太くて硬い傾向があります。そのため、最初のうちは指先が痛くなりやすいかもしれません。でも心配しなくて大丈夫。練習を続けるうちに指先の皮が硬くなり、痛みは自然と感じなくなっていきます。
エレクトリックギター(エレキ)の特徴
アンプにつないで音を出すのがエレクトリックギターです。ロックバンドのギタリストが持っているシャープな形のギターがこれにあたります。
アコギに比べて弦が細くて柔らかく、ネック(握る部分)も細いモデルが多いので、実は押さえやすいというメリットがあります。初心者にとっては意外な選択肢かもしれませんが、挫折しにくいという点ではエレキも悪くありません。
ヘッドホンを使えば夜間でも音を気にせず練習できるのも大きな利点です。ただし、本体以外にアンプやケーブル(シールド)が必要になるので、初期費用はやや高くなります。
どちらを選ぶか迷ったら
どちらを選ぶか迷ったときは、「自分が弾きたい曲」をイメージしてみてください。弾き語りやフォーク系の曲が多いならアコギ、ロックやポップスのバンドサウンドが好きならエレキがおすすめです。
それでも決められない場合は、見た目で選んでも全然OKです。自分が「かっこいい!」「これを弾きたい!」と思えるギターの方が、練習のモチベーションは確実に上がります。
購入はネットでも可能ですが、できれば一度は楽器店に足を運んで、実際に持たせてもらうことをおすすめします。重さやネックの握り心地は、持ってみないと分かりません。
初心者セット(ギター本体+チューナー+ピック+ケースなど)も多く販売されています。個別に買い揃えるより安価で、「何を買えばいいか分からない」という悩みを一発で解決してくれるので、最初の一本としては賢い選択です。
絶対に必要なもの(2):チューナー
ギターは繊細な楽器で、弾いているうちに少しずつ音程がずれてきます。正しい音程で練習しないと、正しい音感が身につかず、上達の妨げになってしまいます。練習前には必ずチューニング(調弦)をする習慣をつけましょう。
チューナーには主に2種類あります。一つはクリップチューナーで、ギターのヘッド部分に挟んで使います。弦の振動を直接拾うので、周囲が多少騒がしくても正確にチューニングできます。価格も1,000円前後からあるので、初心者にはこれが最もおすすめです。
もう一つはスマホアプリです。最近は無料でも高性能なチューナーアプリがたくさんあります。まずはアプリで試してみて、不便を感じたらクリップチューナーを購入する流れでも問題ありません。
絶対に必要なもの(3):ピック
弦を弾くための小さな三角形の道具がピックです。指で弾く奏法もありますが、最初はピックを使った演奏から始めるのが一般的です。
ピックには様々な形状と硬さがありますが、初心者は次の2点を基準に選ぶといいでしょう。
形状は「おにぎり型(トライアングル型)」がおすすめです。持つ面積が広くて安定するので、最初は扱いやすく感じます。硬さは「ミディアム」か「シン(薄め)」を選びましょう。硬すぎず柔らかすぎず、コードをかき鳴らすストローク奏法にも、一音ずつ弾く単音弾きにも対応できます。
ピックは1枚100円程度と安価で、消耗品でもあります。いくつか違う種類を試してみて、自分に合うものを見つけていくのがおすすめです。
あると便利なアイテム
必須ではありませんが、あると練習が快適になるアイテムも紹介しておきます。
教則本や教材は独学の「地図」になる重要なアイテムです。選び方については後ほど詳しく解説します。
ギタースタンドは、ギターを安全に立てかけておくためのものです。ケースにしまいっぱなしにするより、スタンドに立てていつでも手に取れる状態にしておく方が、自然と練習時間が増えます。これは本当に効果があるので、ぜひ用意してほしいアイテムです。
交換用の弦は、弦が錆びたり切れたりしたときのために、予備を1セット持っておくと安心です。
ストラップは立って演奏するときにギターを肩からかけるベルトです。座って練習するだけなら最初は不要ですが、いずれは必要になります。
メトロノームは一定のテンポを刻んでくれる機器で、リズム感を養うために役立ちます。これもスマホアプリで代用できます。
カポタスト(カポ)はネックに取り付けて、曲のキーを簡単に変えられる道具です。これ一つで弾ける曲のレパートリーが大幅に広がるので、余裕があれば揃えておきたいアイテムです。
【実践編】挫折しない!ギター独学7つのステップ
道具が揃ったら、いよいよ練習開始です。ここでは、多くの初心者がつまずくポイントを避けながら、着実に上達できる練習のステップを7段階で紹介します。焦らず、一つずつ楽しみながらクリアしていきましょう。
ステップ1:チューニングをマスターする
練習を始める前に、まずはチューナーを使って6本の弦の音を正しく合わせます。これを怠ると、どんなに正しく押さえても気持ちの悪い音になってしまい、上達しているかどうかの判断すらできなくなります。
一般的なレギュラーチューニングでは、太い方の6弦から順番に「ミ・ラ・レ・ソ・シ・ミ」(E・A・D・G・B・E)に合わせます。チューナーの表示を見ながら、それぞれの弦のペグ(糸巻き)を回して音程を調整していきましょう。
最初は時間がかかっても気にしなくて大丈夫です。毎日繰り返していれば、そのうち数分でできるようになります。チューニングは練習のたびに行う基本動作なので、早い段階で慣れておくことが大切です。
ステップ2:正しいフォームを身につける
すぐに音を出したくなる気持ちは分かりますが、ここで少し我慢して、正しいフォームを体に覚えさせましょう。間違ったフォームで練習を続けると、上達が遅くなるだけでなく、手首や肩を痛める原因にもなります。
鏡の前で自分の姿を確認しながら練習するのがおすすめです。
ギターの構え方は、椅子に浅く腰掛け、右利きの場合はギターのくびれた部分を右太ももに乗せます。ギターのヘッド(先端部分)が少し上を向くように、体に引き寄せましょう。背筋を伸ばし、肩の力を抜いてリラックスすることがポイントです。
右手のフォーム(ピッキング)は、ピックを親指の腹と人差し指の側面で軽くつまむように持ちます。ガチガチに握りすぎないのがコツです。手首を柔らかく使い、弦に対してピックを振り下ろす(ダウンピッキング)、振り上げる(アップピッキング)動作を確認しましょう。
左手のフォーム(押弦)は、ネックを親指と他の4本の指で軽く握ります。弦を押さえるときは、指の先端を立てて、フレット(ネックに打ち込まれた金属の棒)のすぐそばを押さえるのがコツです。こうすることで、最小限の力できれいな音が出せるようになります。
ステップ3:1本の弦で1音をきれいに鳴らす
いきなり複数の弦を同時に押さえるコードに挑戦すると、ほとんどの人が挫折します。まずは1本の指で1つの音を、確実にきれいに鳴らすことから始めましょう。
おすすめなのは「クロマチックスケール(半音階)」と呼ばれる基礎練習です。やり方はシンプルです。
まず、一番太い6弦の1フレット目を人差し指で押さえて弾きます。「ポーン」ときれいな音が鳴ったら、次は同じ弦の2フレット目を中指で押さえて弾きます。続いて3フレット目を薬指、4フレット目を小指で押さえて弾きます。
6弦が終わったら、同じことを5弦、4弦、3弦、2弦、1弦と順番に繰り返していきます。
この練習の目的は2つあります。一つは、指を思い通りに動かせるようにすること。もう一つは、どれくらいの力で押さえればきれいな音が出るのかを体感することです。
スピードは全く必要ありません。一音一音、音がしっかり伸びているかを確認しながら、ゆっくり丁寧に行いましょう。最初は小指が全然言うことを聞かないかもしれませんが、続けていれば必ず動くようになります。
ステップ4:簡単なコードを3つだけ覚える
指が少し動くようになったら、いよいよ和音(コード)に挑戦です。ただし、ここでも焦りは禁物。ギターのコードは何百種類もありますが、最初は3つだけ覚えれば十分です。
初心者におすすめのコードを3つ紹介します。
まず「E(イーメジャー)」。響きが力強く、押さえる指も3本だけなので比較的簡単です。
次に「Am(エーマイナー)」。Eの形から指を少しずらすだけで押さえられます。Eとセットで覚えると効率的です。
そして「C(シーメジャー)」。多くのJ-POPで使われる超基本コードです。指を少し広げる必要がありますが、これが押さえられれば大きな前進です。
最初は、押さえた指が隣の弦に触れてしまい、「ボッ」という詰まった音しか出ないかもしれません。それは全く正常なことなので、気にしなくて大丈夫です。
指を立てること、フレットの近くを押さえることを意識しながら、6本すべての弦がきれいに鳴り響くまで繰り返し挑戦してみてください。一つのコードがきれいに鳴った瞬間の感動は、練習を続ける大きな原動力になります。
ステップ5:コードチェンジを練習する(最重要)
一つのコードが押さえられるようになっても、それだけでは曲は弾けません。曲はコードが次々と切り替わることで成り立っているからです。この「コードチェンジ」こそが、初心者が乗り越えるべき最初の、そして最大の関門と言えます。
練習方法は地道ですが、効果は絶大です。
まず、スマホのメトロノームアプリをゆっくりなテンポ(BPM=60くらい)に設定します。メトロノームが4回鳴る間に、コード「C」を押さえてジャラーンと弾きます。次の4回で、コード「Am」に切り替えて同じように弾きます。これをひたすら繰り返します。
ポイントは、音が鳴っていない間に、次のコードの形を頭の中でイメージしておくことです。最初は指がもつれて絶対に間に合いません。でも、諦めずに続けてください。
1週間も続ければ、脳からの指令がスムーズに指先に伝わるようになっているはずです。この「指が勝手に動く」感覚を一度味わうと、練習が一気に楽しくなります。
ステップ6:1曲弾けるようになる
覚えたコードだけで弾ける簡単な曲に挑戦して、「自分にも弾けるんだ!」という成功体験を味わいましょう。この体験が、この先の難しい練習を乗り越えるためのエネルギーになります。
C、Am、E(+Gなど)で弾ける曲の例として、スピッツの「チェリー」(サビ部分)、童謡の「きらきら星」、ザ・ブルーハーツの「青空」などがあります。
楽譜は「(曲名) コード 簡単」で検索すれば、すぐに見つかります。最初はテンポが遅くても、リズムがよれても構いません。完璧を目指す必要はありません。
とにかく最後まで、自分の力だけで1曲通して弾いてみてください。たとえガタガタでも、1曲弾き切ったという事実が、あなたの自信になります。
ステップ7:Fコードの壁を乗り越える
多くの初心者の心を折ってきた最大の難関、それが「F」コードです。人差し指1本で複数の弦を同時に押さえる「セーハ」(バレーコード)という技術が必要になるため、難しく感じるのは当然のことです。
でも安心してください。この壁も正しいアプローチで挑めば、必ず乗り越えられます。
攻略法の1つ目は、略式フォームから始めることです。いきなり6本全部の弦を押さえようとせず、まずは1~4弦だけを使う「Fmaj7(エフメジャーセブンス)」で代用しましょう。響きは少しおしゃれになりますが、曲の中での役割はほぼ同じです。これで多くの曲が弾けるようになります。
攻略法の2つ目は、部分練習に徹することです。まずは人差し指だけで6本の弦を押さえる練習をします。最初は全部の弦が鳴らなくてもOK。手首の角度や親指の位置を色々試しながら、一番力が入るポイントを探っていきましょう。
攻略法の3つ目は、物理的に楽をすることです。ネックの高い位置(ボディに近い方)は弦の張力が弱いので、そこでセーハの練習をすると少し楽になります。また、エレキギターは弦が柔らかいので、アコギでFが押さえられなかった人もエレキなら成功することがよくあります。
Fコードは独学ギタリストの「通過儀礼」のようなものです。ここを乗り越えれば、弾ける曲の数が爆発的に増え、ギターが何倍も楽しくなります。焦らず、毎日少しずつ挑戦していきましょう。
1日の練習時間の目安とスケジュールの立て方
「1日どれくらい練習すればいいですか?」これはギターを始める人からよく聞かれる質問です。結論から言うと、毎日15~30分でも十分効果があります。
練習時間より「継続」が大切
週末にまとめて3時間練習するよりも、毎日15分練習する方が上達します。なぜなら、ギターの上達には「筋肉の記憶」が重要だからです。指の動きや力加減は、短時間でも毎日繰り返すことで体に染み込んでいきます。
逆に、間が空きすぎると、せっかく覚えた指の動きを忘れてしまいます。週に1回だけ長時間練習するパターンは、最も効率が悪いと言えます。
現実的な練習スケジュール
仕事や学校で忙しい人は、「1日15分、週5日」を目標にしてみてください。これくらいなら、どんなに忙しくても何とか捻出できる時間です。朝起きたとき、夜寝る前、昼休みなど、自分の生活リズムに合わせて「ギターを触る時間」を決めておくと続けやすくなります。
もう少し時間が取れる人は、「1日30分~1時間、週5日」を目指しましょう。このペースで続ければ、3ヶ月後には簡単な曲が弾けるようになり、半年後にはFコードも乗り越えられているはずです。
短時間で効果的に練習するコツ
限られた時間を有効に使うために、練習メニューを事前に決めておくのがおすすめです。例えば、15分の練習なら次のような配分が考えられます。
最初の2分はチューニングと指ならし。次の5分はクロマチックスケールなどの基礎練習。残りの8分はコードチェンジの練習、または曲の練習。このように、何をやるか決めておけば、ギターを手に取った瞬間から練習をスタートできます。
「今日は何を練習しようかな」と迷っている時間がもったいないですし、その迷いが「今日はいいか」というサボりにつながることもあります。
上達スピードの目安
上達のスピードは人それぞれですが、毎日15~30分練習した場合の大まかな目安を紹介します。
1週間後には、チューニングがスムーズにできるようになり、基本的なフォームが身についてきます。1ヶ月後には、簡単なコードがいくつか押さえられるようになり、コードチェンジも少しずつできるようになります。
3ヶ月後には、簡単な曲が1~2曲弾けるようになります。半年後にはFコードの壁を乗り越え、弾ける曲のレパートリーが増えてきます。1年後には、初心者レベルを卒業し、好きな曲の大半に挑戦できるようになっているでしょう。
もちろん、これは目安であり、人によって差があります。大切なのは、他人と比べないこと。自分のペースで、楽しみながら続けることが一番です。
挫折しやすいタイミングと乗り越え方
ギター独学には、多くの人が同じタイミングで挫折しやすい「危険ゾーン」があります。あらかじめ知っておけば、心の準備ができますし、対策も立てられます。
挫折ポイント(1):始めて1~2週間目
最も挫折者が多いのは、実は始めてすぐの時期です。「思ったより難しい」「指が痛い」「全然音が出ない」というギャップに耐えられず、やめてしまう人が少なくありません。
この時期を乗り越えるコツは、期待値を下げることです。最初から弾けると思わないこと。1~2週間は「慣れる期間」と割り切り、チューニングやフォームの確認、単音の練習など、地味なことをコツコツやりましょう。
指の痛みについては、無理をしないことが大切です。痛くなったら休む。1日15分から始めて、徐々に時間を伸ばしていく。そうすれば、指先の皮が自然と硬くなり、痛みを感じなくなってきます。
挫折ポイント(2):1ヶ月前後(コードチェンジの壁)
コードを一つずつ押さえることはできるようになったのに、切り替えがうまくいかない。この「コードチェンジの壁」に当たって、やめてしまう人も多いです。
乗り越えるコツは、ゆっくりなテンポで練習することと、諦めないことです。メトロノームをBPM=50~60という、歩くより遅いくらいのテンポに設定して練習しましょう。「こんなに遅くていいの?」と思うかもしれませんが、これくらいからスタートして大丈夫です。
また、コードチェンジは「脳から指への神経回路」を作る作業です。これは練習量に比例して必ずできるようになります。1週間で出来なくても、2週間、3週間と続ければ、必ず指が動くようになる日が来ます。
挫折ポイント(3):2~3ヶ月目(Fコードの壁)
何度やってもFが押さえられない。「自分には才能がないのかも」と思ってしまう時期です。
乗り越えるコツは、先ほども紹介した通り、略式フォームを活用することです。Fmaj7で代用すれば、多くの曲は問題なく弾けます。「本物のF」にこだわりすぎないでください。
また、Fの練習ばかりしていると、ギターが嫌いになってしまうこともあります。Fの練習は1日5分だけにして、残りの時間は弾ける曲を楽しむ、というバランスも大切です。
挫折ポイント(4):半年~1年目(停滞期)
ある程度弾けるようになったのに、最近上達している気がしない。新しい曲に挑戦する気力も湧かない。そんな「停滞期」が訪れることがあります。
乗り越えるコツは、新しい刺激を取り入れることです。いつもと違うジャンルの曲に挑戦する、新しいテクニックを学ぶ、楽器店で違うギターを試してみる、ライブを見に行くなど、マンネリを打破する行動を意識的に取りましょう。
また、この時期に自分の成長を客観的に確認することも効果的です。始めた頃に録音した演奏と今の演奏を聴き比べてみてください。確実に上達していることが分かり、モチベーションが復活するはずです。
共通する乗り越え方
どの挫折ポイントにも共通して言えることがあります。それは、「完璧を目指さない」ことと、「楽しむことを忘れない」ことです。
ギターは趣味です。義務ではありません。うまく弾けなくても、誰にも迷惑はかかりません。たまにはコード練習を休んで、適当にジャラジャラ弾いているだけの日があってもいいのです。
「楽しい」と思えなくなったら、一旦練習をお休みするのも選択肢の一つです。数日、数週間離れてから戻ってきたら、また新鮮な気持ちで向き合えることもあります。
【知識編】独学の効率を上げる教材の選び方と活用法
独学がうまくいくかどうかは、良い教材と出会えるかに大きくかかっています。ここでは、様々な教材の特徴と、賢い選び方・使い方を紹介します。
教則本の選び方
紙の教則本は、今でも独学者の強い味方です。情報が体系的にまとめられているので、何をどの順番で練習すればいいか、全体像が把握しやすいのがメリットです。
良い教則本を選ぶポイントは4つあります。
1つ目は、写真や図解が多いこと。コードの押さえ方や指の形など、文字だけでは伝わりにくい情報が視覚的に分かりやすく解説されているものを選びましょう。
2つ目は、DVDや動画の付録があること。最近は QRコードを読み込むとスマホで動画が見られる教則本も増えています。実際の動きや音を確認できると、理解度が格段に上がります。
3つ目は、収録されている曲や練習フレーズが魅力的なこと。自分の弾きたい曲や好みのジャンルに近い練習曲が載っている本は、モチベーションを高く保ってくれます。
4つ目は、基礎練習が丁寧に解説されていること。コードや曲だけでなく、クロマチックスケールのような地味だけど重要な基礎練習についてもしっかりページを割いている本は信頼できます。
動画コンテンツの活用法
YouTubeなどの動画コンテンツは、特定の奏法や指の動きをピンポイントで確認したいときに非常に役立ちます。無料で膨大な情報にアクセスできるのが最大の魅力です。
ただし、注意点もあります。動画は情報が断片的になりがちで、「何から順番に見ればいいか分からない」という状態に陥りやすいです。また、発信者によって言っていることが違ったり、情報の正確性が保証されていなかったりすることもあります。
そこでおすすめなのは、教則本をメインの教科書として使い、動画は補助教材として活用する方法です。本を読んでいて分かりにくかった部分を動画で検索して確認する、という流れが効率的です。
オンライン教材・DVD教材という選択肢
特定の企業やプロギタリストが制作している体系的な教材もあります。初心者がつまずきやすいポイントを熟知した上で、効率的な順序でレッスンが組まれているのが特徴です。
買い切り型のDVD教材や、月額制のオンラインスクールなど形態は様々ですが、「○日で1曲弾けるようになる」といった明確な目標が設定されていることが多いです。独学で最も大切なモチベーションの維持を、カリキュラムの進捗そのものがサポートしてくれるのは大きなメリットです。
費用はかかりますが、教室に通うよりは安く済みますし、自分のペースで進められるという独学のメリットも維持できます。
教材選びで最も大切なこと
どの教材を選ぶにしても、忘れてはいけないことが一つあります。それは、「これと決めたら、まず一つをやり通す」ことです。
不安から次々と新しい教材に手を出してしまう人がいます。いわゆる「教材コレクター」になってしまうパターンです。これでは、どの教材も中途半端になり、結局何も身につきません。
最初に選んだ教材が自分に合っているか不安になることもあるでしょう。でも、少なくとも最後まで一通りやり切ってみてください。一つの教材をやり遂げたとき、あなたのレベルは確実に一段階上がっているはずです。
ギター独学のよくある悩みQ&A
独学を続けていると、様々な疑問や困難に出会います。ここでは、多くの人が経験する「あるある」な悩みとその解決策をまとめました。
- 指が痛くて練習が続けられません
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それは、あなたが真剣に練習している証拠です。最初は誰でも指先の皮が柔らかいため、弦の圧力で痛くなります。でも、練習を続けるうちに指先の皮が硬くなり(ギタリストの間では「指が育つ」と言います)、痛みは感じなくなっていきます。
痛みが強いときは無理をせず、1日15分など短い時間で練習を切り上げましょう。また、楽器店で「弦高(げんこう)」を低く調整してもらったり、より細いゲージの弦に交換したりするだけでも、押さえやすさが改善することがあります。
- モチベーションが保てません
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モチベーションの維持は、独学における永遠のテーマです。いくつかの工夫を試してみてください。
まず、目標を極限まで低くすること。「毎日1時間練習する」ではなく「毎日1回はギターに触る」くらいでOKです。ハードルを下げることで、続けやすくなります。
憧れの曲を目標にするのも効果的です。「この1曲が弾けるようになりたい」という明確なゴールがあると、練習に身が入ります。
SNSで練習の様子を発信するのもおすすめです。同じ目標を持つ仲間とつながったり、上達の過程を記録したりすることで、孤独を感じにくくなります。
「1曲弾けたら欲しかったピックを買う」など、目標達成とご褒美をセットにするのも効果的です。
- 上達している実感がありません
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日々の成長はごく僅かなので、自分ではなかなか気づきにくいものです。でも、1ヶ月前の自分と比べれば、必ず上達しています。
定期的に自分の演奏をスマホで録音・録画することを強くおすすめします。1ヶ月後に聴き(見)比べれば、その上達ぶりにきっと驚くはずです。
また、弾けるようになった曲やコードをノートにリストアップしていくのも、成長を実感する良い方法です。目に見える形で記録を残すと、「こんなにできるようになったんだ」と自信につながります。
- 楽譜(五線譜)が読めなくても大丈夫ですか?
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全く問題ありません。ギターには「TAB(タブ)譜」という、ギター専用の直感的な楽譜があります。
TAB譜は、ギターの6本の弦を6本の横線で表し、どの弦の何番目のフレットを押さえるかを数字で示したものです。五線譜が読めなくても、TAB譜さえ読めれば、世の中のほとんどの曲は演奏できます。
教則本もネット上の楽譜サイトも、大半はTAB譜を採用しているので、心配はいりません。
- 手が小さいのですが大丈夫でしょうか?
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手が小さくても、ギターは十分に弾けます。確かに、手が大きい方がコードを押さえやすい場面はあります。でも、プロのギタリストの中にも手が小さい人はたくさんいます。
どうしても気になる場合は、「ショートスケール」と呼ばれる、ネックの短いギターを選ぶという方法もあります。また、エレキギターはネックが細いモデルが多いので、手が小さい人には向いています。
- 音を出せる環境がないのですが…
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集合住宅に住んでいたり、家族に遠慮したりして、大きな音を出せない人も多いと思います。
エレキギターなら、ヘッドホンを使えばほぼ無音で練習できます。最近は小型のヘッドホンアンプも多く販売されているので、手軽に導入できます。
アコギの場合は、サウンドホール(ボディの穴)をふさぐ「消音器」や、弦に取り付ける「ミュート」を使う方法があります。完全な無音にはなりませんが、かなり音量を抑えられます。
また、夜は弾かずに昼間だけ練習する、音楽スタジオの個人練習を利用するなど、環境に合わせた工夫をしている人もたくさんいます。
まとめ:ギターのある生活を始めよう
ここまで、ギター独学を成功させるための具体的なステップと知識をお伝えしてきました。最後に、大切なポイントを振り返っておきましょう。
独学の成功は「正しい手順」と「継続」にかかっています。やみくもに練習するのではなく、一つずつステップを踏んでいくことが大切です。
最初に揃えるのは「ギター」「チューナー」「ピック」の3つ。ギターは見た目で選んでも大丈夫です。自分がワクワクするギターを選びましょう。
練習は「フォーム固め」→「単音弾き」→「コード3つ」→「コードチェンジ」の順で進めます。いきなり難しいことに挑戦せず、段階を踏むのがポイントです。
最大の壁「Fコード」は、略式フォームや部分練習で焦らず攻略しましょう。Fが押さえられなくても、多くの曲は弾けます。
教材は「一つをやり抜く」ことが重要です。複数の教材に手を出すより、一つを最後まで終わらせましょう。動画は補助的に活用します。
1日15~30分でも、毎日続ければ確実に上達します。週末にまとめて練習するより、短時間でも毎日触る方が効果的です。
挫折しやすいタイミングは決まっています。あらかじめ知っておけば、心の準備ができます。
半年後、1年後の自分を想像してみてください。仲間と集まって好きな曲をセッションしたり、一人で静かにお気に入りの曲を弾き語りしたり…。そんな、音楽がすぐそばにある生活が待っています。
過去に挫折した経験があっても、大丈夫。今度は「どこでつまずくか」を知っています。その知識を活かして、今度こそ乗り越えていきましょう。
難しく考える必要はありません。まずはギターを手に取り、6本の弦をジャラーンと鳴らしてみてください。
その瞬間に感じる胸の高鳴りが、これから始まる音楽の旅の第一歩です。
